卵子の老化によって、染色体の不分離が生じやすくなり、流産率も上がり結果的に出産率が激減します。仕事やパートナーの都合で産む準備が整わないまま卵子と共に年を重ねていき、子供を産みづらくなることを「社会性不妊」と言います。また、20〜30代で好発する女性特有のがんの治療によっても、妊娠する能力は低下します。これを「医原性不妊」と言います。
「卵子凍結保存」とは、このような「社会性不妊」や「医原性不妊」を回避・予防するために、出来る限り若く、流産しにくい卵子を体外に取り出して凍結保存することを言います。
現在、治療中のご病気があり投薬中の方や放射線治療中の方は、卵巣機能や卵子の質や正常性への治療の影響が不明の場合、主治医の先生のご紹介状や治療の情報の提出をお願いする場合もあります。
卵子凍結によって保存された卵子を使って妊娠・出産するには、まず卵子と精子を体の外で受精する「体外受精」が必要となります。
その際、凍結された卵子を融解する必要があり、この過程で卵子が破損してしまい使用できなくなる場合があります。
このようなことから、凍結した卵子を融解する際の生存率は40〜70%程度と言われています。
年齢を重ねるにつれて1個あたりの妊娠率が下がっていくため、なるべく若い段階で卵子凍結を行っておくことが望ましいとされています。
また、この妊娠率がそのまま出産に結びつくかと言うとそうではなくて、妊娠後にも流産の可能性があります。
30歳から34歳の自然流産率は、およそ10%と言われており、30代後半では20%程度、40歳を超えると41%前後まで高まります。
流産の可能性まで含めるとやはり、早期に凍結保存をし、なるべく早い段階で妊娠・出産を迎えることが理想と言えるでしょう。
卵子保存を申し込むには、まず当院にて適性検査を受ける必要があります。
適性検査の際に、卵子保存についてリスクも含め詳しくご説明いたします。
原則として、50歳のお誕生日までの保存が可能です。
39歳以下の方であれば、必要な数は10個です。40歳以上は50個、45歳以上は2,500個が必要になります。
卵子保存を規制する法律は日本にありません。
2013年11月15日に、初めて日本生殖医学会より健康な女性の未授精卵子凍結・保存のガイドラインが発表されました。ガイドラインの内容は、日本生殖医学会のホームページでご覧になれます。
(国内外問わず)ご希望の不妊治療施設へ輸送し、融解(解凍)後に顕微授精を行います。
ご希望があれば、凍結卵子からの出産成績が良好な病院へのご紹介も承っています(有料)。
日本国内では、10年前からごく一部の施設で行われてきました。
アメリカ、ヨーロッパでは30代キャリアウーマンの卵子保存が普及しています。
卵子提供ができる国では、これまでに100万人が凍結卵子で体外受精を実施し、世界中ですでに30万人の赤ちゃんが誕生しています。
「採卵」…痛み・出血・炎症など
「排卵誘発剤」…卵巣過剰刺激症候群(腹痛、腹部膨満感)
採卵に関して
・採卵前の卵巣刺激ホルモン注射の副作用として、軽い吐き気、むくみ、まれにアレルギー反応や卵巣肥大による卵巣茎捻転*や、卵巣過剰刺激症候群**などが起こる事があります。
・採卵時の麻酔薬に対する副作用でアレルギー反応が出る方も稀にいらっしゃいます。
・採卵時に卵巣や膣内壁から少し出血があります。
*腫大した卵巣の血管が偶然ねじれてしまい、処置が遅れると卵巣が壊死することもある病気です。
**卵巣が腫大すると、卵巣表面の血管から水分が腹腔内へ漏出し、腹水として貯留されます。その結果、血液が濃縮して尿量が減少し、腎機能障害、電解質異常、血栓症、呼吸障害などが起こる病気です。10万人あたり0.6~1.2人の割合で発症します。
その他
・凍結による透明帯(卵子の殻)の硬化によって、将来受精させるためには顕微授精を行う必要があります。
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